TRPGはプレイヤーが自由に行動を選択できるのが一番の楽しみ。GMもそれに答えたいところでしょう。しかし、自由にされすぎて物語が進まない、あるいは変な方向に行ってしまうこともあります。手慣れていれば徐々に修正していき、元の流れに乗せることもできるでしょうが、初心者の内は難しいものです。
最近はエモクロアの紹介をしていますが、私が一番得意としているTRPGはパラノイアという全員がバラバラに好き勝手動くシステムなので、バラバラのストーリーを紡ぐのは得意なのかもしれません。
今回は物語が破綻しないように予防する方向性でGM(DL)ができることを紹介します。
クローズドサークルのシナリオを選ぶ
「クローズドサークル」とは、ミステリー用語だそうで、外界と往来が絶たれた空間のことを言うそうです。
絶海の孤島、乗り物の中などが定番で、TRPGでは異空間などもクローズドサークルになると思います。
クローズドサークルのシナリオを選ぶと、プレイヤーがいきなり「じゃあ、ドンキに行ってカー用品を買います!」みたいな突拍子もない提案をするのを避けることができます。個人的にはどんどんやってほしいですが、初心者のころは意味のないシーンになりがちです。まずはクローズドサークルのシナリオを選びましょう。
公式のシナリオにもクローズドサークルの物がありますので、上からいろいろ見てみるといいんじゃないでしょうか。
一本道のシナリオを選ぶ
さっきのクローズドサークルとは違い、「空間としては閉じられていないけれど、ストーリーは分岐しないシナリオ」という意味で一本道のシナリオを選ぶのもおすすめです。
仮に「ゲーセンに行ってレースゲームしてくるわ!」とプレイヤーが言い出したとしても、ゲーセンの描写をして元のストーリーに戻ってくればよいため、方針が明確です。
「じゃあ、〈操縦:自動車〉で判定してください。レースゲームでいい成績をおさめることができました。このシナリオで車を運転する際には判定の時にダイスを一つ多く振ることができます。では、あなたは時間をつぶし、〇〇駅に戻ります。」
こんな感じで簡単に戻ってくることができます。
時間経過がシビアなシナリオを選ばない
初心者同士の卓だと、短めのシナリオを選ぶ傾向があると思いますが、そのようなシナリオの中にはリアルタイム1時間で探索や謎解きを行うようなことがあります。
これは初心者にはかなりリスキーです。進行がもたつくこともあるでしょうし、効果的にヒントを与えることも難しいと思います。
初心者の間は、時間経過がシナリオに影響しないものを選びましょう。また、本当に全員初回の場合、プレイ時間はキャラ作成に1時間、加えてシナリオに書いてある想定プレイ時間の倍は見ておくと安心です。こまめに休憩をはさみましょう。
素直に「それはできません」と言う
プレイヤーからの提案は、できることなら叶えたいと思っているなら、DLの才能アリだと思います。しかし最初の内は全部要望に応えていると物語がエンディングに向かわなくなると思います。
シナリオを大きく離れてしまう選択をプレイヤーが取った際には「それはシナリオが破綻するのでやめて欲しいです」と言ってもいいです。ぜひプレイヤーもそれを受け入れてあげてください。
一緒に行動してもらう
プレイヤーがバラバラになると、それぞれのシーンを別に描かなければならず、また、先に描いたシーンと後のシーンの整合性が取れない、他のプレイヤーが暇になるなどかなり難易度が増します。
シナリオに指定が無くても、「シーンが複雑になるので、全員一緒に行動してください」と伝えてしまってもいいでしょう。
手分けしないとアイテムや情報が拾いきれないシナリオではないことは事前に確認しておきましょう。
シーンの始まりには強制ワープする
これはかなり離れ業ですが、エモクロアは基本的に怪異の影響を受けているシナリオなので、常識が通用しません。それを利用して、「あなた方は突然目の前が歪み、真っ暗になります。そして、気が付くと全員がリビングで目を覚まします」という具合に強制的に一か所にプレイヤーを集めてしまいます。
この判断自体がシナリオを破綻させることがないかは慎重に判断すべきですが、結構使えます。
ちょっと前に戻してもらう
「ごめんなさい!さっき言ってたこの話ですが、こういう風に修正させてください!」や「このアイテムをここで見つけていたことにしてください!」「さっきのシーンに追加したいことあるのでちょっと回想シーンしてもいいですか?」など、時を戻してもらうのも、全然アリです。
慣れたDLさんでも「ヤバい…。あのシーンで情報言い忘れた…。あとでこのキャラもう一度出てくるからその時に言わせよう」などはよくあると思います。
私の卓でも、部屋を探索すると仕掛けがあって、アイテムを取得することがありますが、大抵は渡し忘れたアイテムを回収してもらうために急に生まれた部屋です。
焦らずに、最初はプレイヤーの助けを借りながら、楽しい物語をみんなで作っていきましょう!
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