指導者としての在り方は責任だけ取る勇気

後任や部下の指導を行う際に、どのような手法を取っているでしょうか。

普通の段取りでは、

  1. マニュアルの作成
  2. 今やっている作業の説明
  3. 作業を実演して見せる
  4. 作業を実際にやってもらう
  5. 作業に慣れたらその作業を任せる

このような流れになると思います。概ね私もこのように進めるのですが、意外と回りがやっていない自分なりのポイントがあるので、紹介したいと思います。指導に関してはかなり効果がありますので、是非試してみてください。

完璧なマニュアルを作ることがベストか?

緊急時の対応として、マニュアルさえ見れば一通りの作業ができるようにしておくのは有効ですが、こと指導においてはそれは最善策ではない可能性もあります。

例えば、具体的な作業ではなく、考え方やスローガン、マインドなどを伝える場合には穴埋め形式で実際に説明を聞きながら記入をしてもらう形式が有効です。

反対に具体的な作業の場合は、教える対象が一人なら、「実践したほうが覚えられる」「メモを取って覚える」「マニュアルで覚える」のどれに適性があるか見極めるとよいでしょう。

こんな時代なので突然会社を辞めることもあります。マニュアルはマニュアルで用意しておいて、指導が必要なときに活かせるように準備し、その人にあった指導を心がけましょう。最初に「実践と座学とどっちが得意?」と聞いてしまうのも有効です。

もし複数人に具体的な作業を伝える場合は、マニュアルを事前に渡しておいて、当日は実践から始めるのが有効です。マニュアルやメモ派の人は予習で、実践派の人は当日体を動かしてもらうことで、両方の人がプレッシャーなく作業を覚えることができます。

作業の実演はまずはさらっと

次に作業を実際に実演します。見てもらってまずはざっくりした流れをつかんでもらいます。このとき、3つのことを伝えます。

  • ゴール(この作業で最終的に何ができればいいのか)
  • それぞれの作業の意図(なぜその作業が必要なのか)
  • 作業の盛り上がりどころ

まずは、この作業をすることで最終的に何を達成するのかを明確にします。完成品があるなら物を見せ、概念的なことであればその概念をなるべく言語化してどうなることを目的としているか簡潔に説明します。

次に、それぞれの作業を実際に実演しながら説明します。その際に、この作業をなぜ行っているかを補足します。例えば、「1万円で支払いがあった際には『1万円入ります!』と言ってからレジに入れる」という作業なら、「釣銭間違いの防止やお客様とのトラブルの防止、あとはスタッフの不正防止のために1万円の支払いがあったら、お客様とスタッフに見えるようにして『1万円入ります!』と言います。」と伝えます。

そして、この一連の作業の一番の盛り上がりどころを明確にします。医者などの絶対にミスが許されない作業でなければ、作業の中にはそこまで重要ではない工程とかなり重要な工程があると思います。

その中でも一番のポイント、絶対にミスってはいけないポイントや一番楽しいポイント、一番見栄えするポイントなど、この作業におけるサビを説明中にさりげなく伝えます。

意味のない「メモとるな!」「マニュアル見るな!」はもうやめよう

指導中にメモを取るな、マニュアルを見るなと言う人がいます。指導する側としては時間が限られる中でより効率よく作業を伝え、まとめる作業などはそのあとで自分でやってくださいという意図や、いろいろな理由があると思いますが、逆に非効率です。

多くの職場では、1年後に80点の仕事ができることより、1か月で60点の仕事ができることを求められていると思います。もし、10年後に100点の仕事をできればいいと思っている会社があるとすれば、10年後にその新人は会社にいないでしょう。そんな時代です。

ここはしっかりと時間を取り、実践派の人は実践を、メモやマニュアル派の人には時間をかけてもメモを取りながら作業を進めてもらいましょう。

自分が謝って済む失敗はさせる勇気

この項目が一番大事です!!

例えば、部長に渡す書類に誤字があったとします。最初はもちろん指摘をしてあげるべきですが、もう2回ほど同じ指摘をしているのであれば、腹をくくって失敗させてあげることも重要です。

どうせ上司が確認してくれるという甘えを取り除く、という意味もありますがその意図は極めて小さいです。最大のメリットは「失敗した際にどうなるかを経験させてあげる」ことにあります。

ミスからは、防止策や今後の工夫、新たな業務のひらめき、ああいう人にはどのような対応をしたらよいかなど、実に様々なことが学べます。

こんなことを会社に知られては怒られるかもしれませんが、私はこれをお客様や取引先相手でも行っています。契約がなくなるような大きなタイミングでは流石にできませんが、これはかけがえのない経験となります。短期的にみると自分の評価が下がることになりますが、長期的に見れば指導したスタッフの成長率は圧倒的で、会社貢献度も大きく、結果として評価は上がります。

また、その際に絶対に責任を自分で被る覚悟をしなければなりません。先方に頭を下げたり、始末書を書いたりするなど、最低限のことはもちろん当人がすることになりますが、上長に直接怒られるようなことがあれば間に入り、相手がものがある話であればミスが起こったことによる被害を最小限にしなければなりません。

まとめ

一番大事なのはただ一つ!

腹をくくって失敗させてあげましょう!

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